不動産投資における損切りのタイミングとは?株式投資の損切りとの違いも紹介
不動産投資は、融資条件の緩和や地価上昇といった要因を背景にブームが続いています。しかし、投資である以上、リスクはつきものです。そのため、うまく損切り(損失の確定)をすることがトータル利益の確保につながります。本記事では、不動産投資における損切りについて詳しく解説しますので、不動産投資初心者の方は必見です。
不動産投資における損切りの検討タイミング
不動産投資において損切りを検討するタイミングは、要因によって異なります。
ローン返済が困難な場合
まずは、ローンの返済が困難な場合について考えてみましょう。
不動産投資が赤字続きで、ローンの返済ができない状況に陥った場合、即座に損切りを検討することが重要です。なぜなら、ローンの滞納は個人の信用情報に悪影響を与えるだけでなく、一括返済を求められる可能性もあるからです。
一括返済は多くの場合困難であり、競売による物件の売却では相場の5割から7割の価格でしか売却できないため、所有者が自己破産する場合も珍しくありません。ローンの返済が困難になった段階で、早急に売却を検討し、損切りを行うことが重要です。
毎月の手出しが負担になっている場合
次に、毎月の手出し(自腹で払うお金)が負担になっている場合を考えましょう。
不動産投資では、節税効果や将来的な資産価値を考慮しても、毎月の手出しが負担になる場合は損切りを検討する必要があります。損切りをすることで、経済的な余裕が生まれ、新しい投資や貯金に回せる可能性があるためです。損切りに踏み切れない場合は、手出しによるマイナスと将来的なマイナスを計算したうえでの比較が重要です。
損益分岐点を下回った場合
最後に、損益分岐点を下回った場合について考えます。
損益分岐点とは、不動産投資における利益と損失の境目を指し、資産形成を目的とする投資家にとって重要な概念です。損益分岐点を下回った場合、投資が目的とする利益を生み出せていないので、損切りを検討するべきです。
投資用の物件を損切りする方法
投資用不動産を所有する際に、損切りを検討することは重要です。
しかし、その際には慎重な検討が必要です。具体的な手順を見ていきましょう。
収支を詳しく計算する
まず、不動産投資の収支を詳しく計算することが第一歩です。
これは、毎月の家賃収入や入居率、管理費、修繕費、固定資産税など、全ての収支を正確に把握することが必要になります。赤字から目を背けたくなる気持ちはわかりますが、改善するためには現実を直視することが大切です。
物件の査定を受ける
次に、不動産会社に依頼して物件の査定を受けることが重要です。
査定を通じて、売却可能な金額を把握します。もし売却時に利益を得られる見込みがあれば、損切りを考える際の指標となります。
持ち出し金額を計算する
そして、査定結果を元に、最終的な持ち出し金額を計算します。
売却金額がローン残債よりも高ければ問題ありませんが、足りない場合は自己資金の投入や親族からの借入なども検討する必要があります。
総合的に考慮して損切りの判断をする
最後に、収支や売却予定金額を総合的に考慮して、損切りをするかどうかを判断します。
毎月のローン返済が困難な場合は早めの損切りが賢明ですが、そうでなければ不動産価格の動向や将来の見通しを考慮しながらの判断が重要です。
損切りには客観的な視点を持つことが重要
損切りを検討する際には、感情に左右されず客観的な視点で判断することが肝要です。
投資はリスクがつきものであり、損失を最小限に抑えるためにも冷静な判断が求められます。
不動産投資と株式投資における損切りの違い
不動産投資と株式投資の損切りにはいくつかの違いがあります。
実物があるかどうか
まず、不動産投資では実際に物があります。
物件を所有することで、自ら物件を管理・運営することが可能ですが、その分、入居者退去時の原状回復やリフォームなどのメンテナンス費用が発生します。この点が株式投資との大きな違いであり、不動産投資では物件の維持管理に多くの費用や労力がかかることが考慮されなければなりません。
手出しの発生のしやすさ
次に、不動産投資では毎月の手出しが発生しやすい場合があります。
入居者退去時の原状回復や修繕などのメンテナンス費用がかかることが挙げられます。一方で、一般的な株式投資では購入後の費用があまり発生しません。この点でも不動産投資と株式投資は異なります。
収支の見通しの立てやすさ
また、不動産投資では収支の見通しが相対的に立てやすいと言えます。
毎月の家賃収入や固定費を考慮することで、ある程度の収支予測が可能です。一方で、株式投資では株価の変動によって収支が大きく変動します。そのため、株式投資では損切りのタイミングを見極めるのが難しい場合があります。
不動産価格と株価は関連性がある
不動産価格と株価の関連性も考慮すべき点です。
株価の動きには不動産価格への影響があると言われていますが、不動産価格の変動は株価の動きよりも遅れて現れることが多くなります。したがって、不動産投資の損切りを考える際には、株価や為替の動向も注視する必要があります。
まとめ
不動産投資における損切りのタイミングは、ローン返済が困難な場合や毎月の手出しが負担になっている場合、さらには損益分岐点を下回った場合など、さまざまな要因によって異なります。損切りを検討する際には、客観的な視点を持ち、感情に左右されないよう注意することが重要です。また、不動産投資は実物の有無、手出しの発生しやすさなどのポイントで株式投資と異なり、不動産価格と株価の関連性も考慮すべき点です。不動産価格の変動は株価の動きよりも遅れて現れる傾向があるため、株価や為替の動向を注視することが不動産投資の損切りにおいて重要といえるでしょう。本記事を参考に、賢く不動産投資を行って利益を得ましょう。